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たくさんある失敗写真の中でも、最も有名な失敗写真がこの「ピンボケ」と「ブレ」ですね。特に初心者の方ほど、これらの失敗写真を量産してしまいがちです。
今回は、「ピンボケ」と「ブレ」に注目し、これらの失敗写真をできるだけなくすための基礎知識を前編と後編に分けて解説します。
・そもそもピントとは
よく使われる言葉ですが、そもそもピントとはなんのことでしょう。語源はオランダ語の
brandpunt と言われています。日本語だと「焦点」となりますが、これを説明するには虫眼鏡がよく利用されます。子供の頃の理科の実験で虫眼鏡に太陽の光を集めて紙を焦がす実験、やりましたよね?まさに、それが「焦点」でカメラの場合は被写体がもっともクッキリと見える点のことを言います。言い換えればピントが合っていない像はすべてぼやけるわけです。
| 虫眼鏡の焦点実験 |
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われわれ人間の目はこのピントを正確に自動で合わせています。なので、ぼやけた像を自分の目で見ることはほとんどないと思いますが。現実にはピントの合っていない像はぼやけています。簡単な実験ですが、片目で人差し指を立てて見てください。目と指との距離がだいたい20センチくらいの距離ならば人差し指はクッキリ見えるはずです。そのまま指を目に近づけていくとある時点で人差し指がぼやけてきますね。これがピンボケです。
「ピンボケ写真」とは文字通り「ピントのボケた写真」なんですが、厳密には「主要被写体のピントがボケている写真」になります。と言いうのも、写真における「ボケ」は、上手に活用すれば被写体浮かび上がらせて立体感を表現したり、多重露出をかけることで幻想的な世界を作り上げたりと重要な写真表現のテクニックのひとつだからです。(詳しくは第17回「写真のボケ表現と被写界深度」で解説しています。)しかし、失敗写真の「ボケ」には撮影者の意図が含まれていません。主要となる被写体がボケた写真は、「黄身のつぶれた目玉焼きのようなもの」で、けっして見る人を納得させるだけの表現力はないでしょう。
| ピントが合っている写真 |
ピントがボケている写真 |
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・オートフォーカスの仕組み
時代はオートフォーカス(以降AF)機全盛です。かつてのマニュアルフォーカス(以降MF)機は姿を消し、使い捨てカメラや携帯電話のカメラにまでAFが標準装備される時代になりました。にもかかわらずピンボケ写真を量産してしまうのはなぜでしょう。そこで、まずはAFがなぜ自動でピントを合わせるのか、その仕組みを理解する必要があります。下の図は人間の目とAFカメラの構造を単純にしたものです。
| 人間の目とカメラのAFの仕組み |
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先ほど人間の目は自動で確実にピントを合わせると書きましたが、この人間の目と同様のことをカメラが行っているわけです。人間の目が水晶体を前後させて網膜に届く像のピントを合わせているのに対し、AFカメラは撮影レンズを前後させることでフィルム・CCDに届く像のピントを合わせているのです。しかし、一般的なAFカメラの場合、AFが作動する範囲は限られています。これをフォーカスエリアとかフォーカスフレームと呼び、機種によって違いがありますが、たいていは画面中央とその周辺のみです。つまり中央の被写体にしかAFは機能しないということで、主要被写体が中央にない場合には見当違いの場所にピントが合うことになります。さらにAFは被写体の明暗でピントを合わせるため、明暗が単調な被写体には向きません。AFが迷った挙句に見当違いのピントを合わせることもあります。
こういったピンボケは一眼レフなら撮影レンズの像をそのまま確認できるので修正できるのですが、コンパクトカメラでは実質確認することはできません。
・AFロック機能を使う。
上記のような失敗写真を追放するにはいくつかの方法がありますが、下記のAFロック機能を使えばピンボケの失敗写真は格段に減ることになるでしょう。是非、習得してください。機種によってはこの機能がないものもありますが(AF機能があるカメラならたいていあります)、これが可能であれば主要被写体が中央でなくとも、ある程度は対応できます。ただ、あまりに構図を変えるとコサイン誤差が発生し、わずかにピンボケした写真となってしまいます。※コサイン誤差についてはいずれ取り上げるつもりです。
AFロック機能の使い方はいたって簡単です。この機能の付いているカメラは大半が2段シャッターと呼ばれる仕組みを持っています。それは、ピントを合わせ、シャッターを切るというメカニズムをシャッターの操作一つで再現するためです。
具体的には、1段目のシャッターを押します。力をいれずにそっと乗せる感覚でしょうか・・・・(これを半押しと言います)するとカメラのAFが機能をはじめ、中央にある被写体にピントを合わせます。合焦したのを確認してから、今度はシャッターボタンを最後まで押し切ります。するとシャッターが切れて写真が取れるという仕組みです。多くのカメラでは、この1段目の操作で合焦しないとシャッターが切れない仕組みになっているのでわかりやすいと思います。
AFロックとはこの1段目のピントを合わせる動作を保持したまま、構図を動かすことにあります。(下図参照)そうすることで、構図を変えてもAFはロックされた状態ですから、カメラは最初に合焦した被写体にピントを合わせ続けます。
| AFロックを利用して構図を決める |
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→ |
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| ピントを合わせたい被写体をファインダーの中央にして、シャッター半押しでピントを固定する。 |
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ピントを保持したまま(シャッターを半押ししたまま)好みの構図にカメラを動かします。 |
・思い切ってMFで
コサイン誤差が大きい場合には、思い切ってMFで撮影することをお勧めします。コンパクトカメラにはMF機能はありませんが、一眼レフカメラの場合はたいていAFとMFを選択できるようになっています。MFならばAFフレームの縛りを受けることもありませんし、コサイン誤差も発生しません。より自由に被写体を画面に構成することができるでしょう。ただMF時代と違うのがフォーカシングスクリーンがAF用に特化されており、ピントの山(最適な合焦域)が掴みにくいのが難点です。あとはAF比べるとやはり合焦が遅れてしまうので、スピード命のポートレートや動体撮影には不利という点です。
「ピンボケとブレ」(後編)へとつづきます。
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